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中医学

子宮内膜症・慢性骨盤痛に対する中医学治療ガイド

OriEast Editorial Team2026-04-13

クイック要約

この記事で要点、この内容がどんな患者や渡航計画に向くか、次に何を見るべきかを素早く把握できます。

主なテーマ
中医学
向いているケース
鍼灸・漢方薬による子宮内膜症の痛み緩和、炎症抑制、妊活サポートを臨床エビデンスとともに解説。中国での婦人科中医学プログラムも紹介。
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子宮内膜症・慢性骨盤痛に対する中医学治療ガイド

子宮内膜症は、日本女性の約10人に1人が罹患するとされる慢性疾患です。月経痛が年々増悪する、排便時・性交時に痛む、不妊の原因が特定できない――こうした症状に長年苦しみながらも、「痛み止めを飲んで様子を見ましょう」で終わる診察に限界を感じている方は少なくありません。

ホルモン療法(低用量ピル・GnRHアゴニスト)や手術は西洋医学の標準治療ですが、副作用や再発率の高さから継続が難しいケースも多くあります。中医学(鍼灸・漢方薬)は、子宮内膜症の病態に対して複数の作用メカニズムを持ち、近年の臨床試験で痛みの軽減・炎症マーカーの低下・生殖機能の改善が繰り返し報告されています。

本記事では、子宮内膜症・慢性骨盤痛に対する中医学治療の科学的根拠を整理し、中国・上海の中医婦人科専門病院で受けられる統合的治療プログラムの実際を紹介します。

女性の健康全般に対する中医学アプローチについては更年期・PCOS・ホルモンバランス完全ガイド、不妊治療における鍼灸の役割については鍼灸と不妊治療ガイドもあわせてご参照ください。


子宮内膜症とは:日本人女性が知っておくべき基礎知識

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の外(卵巣・卵管・腹膜・直腸など)に発生し、月経のたびにエストロゲン依存性に増殖・出血・炎症を繰り返す疾患です。結果として、癒着、卵巣嚢腫(チョコレート嚢胞)、慢性的な骨盤内炎症が進行します。

日本における現状

  • 推定患者数: 約260万人(生殖年齢女性の約10%)
  • 診断までの平均期間: 7〜10年(「生理痛は当たり前」という文化的・医療的バイアスが遅延の主因)
  • 不妊との関連: 子宮内膜症患者の30〜50%が不妊を経験
  • QOL低下: 月経痛だけでなく、慢性骨盤痛・性交痛・排便痛・疲労感が日常生活を大きく制限

西洋医学の標準治療とその限界

治療法効果限界
NSAIDs(鎮痛薬)一時的な痛み軽減根本的治療にならない、胃腸障害
低用量ピルエストロゲン抑制、症状緩和妊娠希望時は使用不可、長期副作用
GnRHアゴニスト強力なホルモン抑制更年期様症状、骨密度低下、最大6ヶ月
ジエノゲストプロゲスチン療法、病巣縮小不正出血、抑うつ、妊活中は使用不可
腹腔鏡手術病巣除去、嚢胞摘出再発率:術後5年で40〜50%

多くの女性がこれらの治療を経験しながらも、痛みの再発、妊娠への影響、長期服薬の負担に直面しています。中医学が「もう一つの軸」として注目される理由はここにあります。


中医学から見た子宮内膜症:弁証論治の基本

中医学では、子宮内膜症を単一疾患としてではなく、個々の患者の「証(しょう)」に基づいて治療方針を決定します。西洋医学の画像診断やCA-125値と並行して、中医学独自の診断体系が治療の個別化を可能にします。

主要な証型と臨床的特徴

血瘀(けつお)型 ― 最多パターン

  • 刺すような鋭い月経痛、経血に血塊が混じる
  • 痛みの部位が固定している(「拒按」=圧痛あり)
  • 月経前に症状が最も悪化
  • 舌所見:紫暗色、瘀斑あり
  • 西洋医学的対応:炎症性サイトカインの上昇、微小循環障害

気滞血瘀(きたいけつお)型

  • 脹るような痛みと刺痛が交互に出現
  • ストレス・情緒変動で増悪
  • PMS症状が顕著、乳房脹痛
  • 舌所見:暗紅、薄白苔
  • 西洋医学的対応:プロスタグランジン過剰産生、自律神経の乱れ

腎虚血瘀(じんきょけつお)型

  • 鈍い腰痛・下腹部痛、月経後に倦怠感が増す
  • 月経量が少ない、月経周期の延長
  • 不妊を主訴とすることが多い
  • 舌所見:淡暗、舌下静脈怒張
  • 西洋医学的対応:卵巣予備能低下、プロゲステロン不足

湿熱瘀阻(しつねつおそ)型

  • 灼熱感を伴う痛み、おりものの増加
  • 排便時・排尿時にも痛みが放散
  • 感染や炎症反応が強い
  • 舌所見:紅、黄膩苔
  • 西洋医学的対応:骨盤内炎症の活動性が高い

一人の患者が複数の証型を兼ねることが多く、月経周期の時期によって証が変動します。中医師はこれを動的に把握し、治療を微調整します。


鍼灸による子宮内膜症治療:臨床エビデンス

痛みの軽減に関するエビデンス

子宮内膜症関連痛に対する鍼灸の効果は、複数のランダム化比較試験(RCT)とメタアナリシスで検証されています。

研究対象・方法主要結果
Xu et al.(Pain Medicine, 2017)子宮内膜症関連月経痛67名、鍼灸 vs 偽鍼灸VASスコア62%低下(偽鍼灸群は25%低下)
Wayne et al.(Fertility and Sterility, 2008)子宮内膜症18名、日本式鍼灸プロトコル月経痛が平均52%軽減、鎮痛薬使用量の減少
Zhu et al.(PLOS ONE, 2019)12件RCTのメタアナリシス、1,035名鍼灸群は薬物療法群と同等の疼痛軽減効果、副作用は有意に少ない
Rubi-Klein et al.(European Journal of Obstetrics & Gynecology, 2010)慢性骨盤痛83名、鍼灸 vs 通常ケア痛みスコア59%改善、QOL尺度の有意な向上

要点: 鍼灸は子宮内膜症関連痛に対して、50〜62%の疼痛軽減が期待できます。NSAIDsと同等以上の効果を示しながら、胃腸障害・腎機能への悪影響がないことが利点です。

鍼灸の作用メカニズム

鍼灸が子宮内膜症に対して多面的に作用する生物学的メカニズムが、近年の研究で明らかになっています。

1. 内因性鎮痛系の活性化

  • β-エンドルフィン・エンケファリンの放出を促進
  • 下行性疼痛抑制系を活性化(中脳水道周囲灰白質→脊髄後角)
  • 中枢性感作(痛みの過敏化)を緩和

2. 抗炎症作用

  • 炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α)の産生を抑制
  • 抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生を促進
  • NF-κB経路の活性を低下させる
  • 子宮内膜症では慢性的な骨盤内炎症が主病態であり、この抗炎症作用が核心的です

3. 骨盤内血流の改善

  • 子宮動脈拍動指数(PI)の低下が超音波ドプラーで確認
  • 骨盤内微小循環の改善 → 炎症産物の排出促進
  • 卵巣血流の改善 → 卵胞発育のサポート

4. 自律神経系の再調整

  • 交感神経過緊張の緩和(慢性骨盤痛では交感神経が持続的に亢進)
  • 迷走神経トーンの向上 → 抗炎症反射の活性化
  • ストレス反応(HPA軸)の正常化

5. プロスタグランジン調節

  • PGE2(炎症・痛みの主要メディエーター)の過剰産生を抑制
  • PGF2α/PGE2比の正常化 → 子宮収縮の調節

子宮内膜症に対する主要経穴

経穴部位作用
三陰交(SP6)内踝上方3寸婦人科疾患の要穴、血流改善・鎮痛
関元(CV4)臍下3寸子宮・卵巣の気血を補う
中極(CV3)臍下4寸骨盤内臓器への直接的作用
帰来(ST29)臍下4寸、旁開2寸子宮血流改善、月経痛軽減
血海(SP10)膝上2寸内側活血化瘀の代表穴
次髎(BL32)仙骨部骨盤底筋・骨盤内神経叢への刺激
太衝(LR3)足背部肝気の疏通、気滞の解消
合谷(LI4)手の虎口部全身的な鎮痛、β-エンドルフィン放出

電気鍼(EA)の優位性: 複数の研究で、通常の鍼灸に比べ電気鍼(2/100Hz交互刺激)が子宮内膜症関連痛に対してより強い鎮痛効果を示すことが報告されています。電気刺激により、内因性オピオイドの放出量が増加し、より深い筋層・神経叢にまで刺激が到達します。


漢方薬による子宮内膜症治療:臨床エビデンス

主要な臨床研究

漢方薬(中薬)の子宮内膜症への効果は、中国を中心に大規模な臨床データが蓄積されています。

研究対象・方法主要結果
Flower et al.(Cochrane Database, 2012)中薬治療のシステマティックレビュー、2件RCTゲストリノンと同等の症状改善、副作用は有意に少ない
Su et al.(Journal of Ethnopharmacology, 2016)桂枝茯苓丸関連処方のメタ分析月経痛スコアの有意な低下、CA-125値の改善
Liu et al.(Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2019)血府逐瘀湯+西洋薬 vs 西洋薬単独、186名併用群が痛みスコア・再発率ともに有意に優れた
Chen et al.(Frontiers in Pharmacology, 2020)少腹逐瘀湯の動物モデル+臨床研究レビュー異所性内膜の萎縮、エストロゲン受容体発現の抑制

証型別に使用される主要方剤

血瘀型 → 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

日本でも保険適用がある代表的な活血化瘀方剤です。桂枝(血行促進)・茯苓(利水)・桃仁(活血)・丹皮(清熱活血)・芍薬(鎮痛・鎮痙)の5味で構成。近年の薬理研究で以下が確認されています:

  • MMP-2/MMP-9(マトリックスメタロプロテアーゼ)の活性抑制 → 異所性内膜の浸潤・増殖を抑制
  • VEGF(血管内皮増殖因子)の低下 → 病巣への新生血管形成を阻害
  • エストロゲン受容体(ERα)発現の調節

気滞血瘀型 → 血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)

  • 桃仁・紅花・当帰・川芎を中心に活血行気
  • 柴胡・枳殻が肝気の疏通を担う
  • 研究では、NF-κB経路の抑制・炎症性サイトカインの低減が確認

腎虚血瘀型 → 補腎活血方

  • 熟地黄・山薬・菟絲子で腎精を補い
  • 丹参・莪朮・三稜で活血化瘀
  • 不妊を伴う子宮内膜症に特に適する

湿熱瘀阻型 → 清熱利湿活血方

  • 敗醤草・薏苡仁・紅藤で清熱利湿
  • 丹参・赤芍で活血化瘀
  • 感染性・炎症性の急性増悪期に適用

日本の保険漢方との違い

日本でも「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」などが子宮内膜症に対して保険適用で処方されますが、中国の中医学治療との間には重要な違いがあります。

項目日本の保険漢方中国の中医学治療
処方形態エキス製剤(固定処方)煎じ薬(生薬を個別調合)
個別化限定的(既成方剤から選択)高度(20〜30種の生薬を弁証に基づき調合)
薬用量生薬換算で少量生薬原量に近い十分な量
月経周期療法通常は行わない月経期・卵胞期・排卵期・黄体期で処方を変更
外用療法ほとんどなし中薬灌腸(直腸投与)、中薬外敷(湿布)
鍼灸との併用別施設で受ける同一病院内で統合的に管理

これが、より深い治療効果を求める患者が中国の中医婦人科を選ぶ理由の一つです。


子宮内膜症と不妊:中医学による妊活サポート

子宮内膜症は不妊の主要原因の一つで、患者の30〜50%が妊娠困難を経験します。不妊に関与するメカニズムは多面的です。

子宮内膜症が不妊を引き起こすメカニズム

  • 卵管の癒着・閉塞 → 卵子のピックアップ障害
  • 卵巣嚢腫による卵巣予備能低下 → AMH低下、卵胞発育障害
  • 腹水内の炎症性環境 → 精子機能障害、胚毒性
  • 子宮内膜受容性の低下 → 着床障害
  • プロゲステロン抵抗性 → 黄体機能不全、着床維持困難

中医学の妊活サポート:エビデンス

鍼灸

  • 子宮動脈血流の改善 → 内膜肥厚・受容性の向上(Stener-Victorin et al., 1996
  • 卵巣血流の改善 → 卵胞発育の促進
  • β-エンドルフィンによるGnRH調節 → 排卵機能の改善
  • IVF併用時の妊娠率向上(メタアナリシスで15〜65%の上乗せ効果)

漢方薬

  • 月経周期療法(周期療法):排卵・着床・黄体機能をフェーズ別にサポート
    • 月経期(1〜5日目): 活血化瘀方で子宮内膜のリセットを促す
    • 卵胞期(6〜12日目): 補腎陰方で卵胞発育を支援
    • 排卵期(13〜15日目): 活血理気方で排卵を促す
    • 黄体期(16〜28日目): 補腎陽方でプロゲステロン産生を維持

中薬灌腸(直腸投与)

中国の中医婦人科病院で広く用いられる独自の治療法です。活血化瘀・軟堅散結の中薬を直腸から投与することで、骨盤内の病巣に薬効成分をより直接的に届けます。複数の中国臨床研究で、経口投与単独と比較して癒着軽減・疼痛改善に優位性が報告されています。

IVF前の中医学準備プロトコル

子宮内膜症を抱えながらIVFを控える場合、中医学による2〜3ヶ月の準備期間が推奨されます。

フェーズ期間目的中医学アプローチ
準備期1〜2ヶ月目骨盤内炎症の軽減、卵巣機能の改善活血化瘀+補腎方、週2回鍼灸
最適化期3ヶ月目内膜環境の整備、卵子の質の向上月経周期療法、電気鍼
IVF併用期採卵〜移植ストレス軽減、血流改善、着床サポート移植前後の鍼灸プロトコル

慢性骨盤痛(CPP)への中医学アプローチ

子宮内膜症以外にも、慢性骨盤痛は多くの女性を悩ませています。子宮内膜症が確認されない場合でも、6ヶ月以上続く骨盤痛は「慢性骨盤痛(Chronic Pelvic Pain)」として治療対象になります。

慢性骨盤痛の要因

  • 筋筋膜性疼痛: 骨盤底筋の過緊張・トリガーポイント
  • 中枢性感作: 長期の痛み刺激による脳・脊髄の疼痛閾値低下
  • 自律神経失調: 交感神経過緊張による血流障害・筋緊張
  • 心理的要因: 慢性痛によるうつ・不安がさらに痛みを増幅

中医学の多角的アプローチ

中医学は、慢性骨盤痛のこれらの複合的要因に対して、単一の鎮痛薬では難しい多角的アプローチが可能です。

鍼灸

  • 骨盤底筋の弛緩:次髎(BL32)・中髎(BL33)への鍼灸が骨盤底筋の過緊張を緩和
  • 中枢性感作の改善:反復的な鍼灸刺激が下行性疼痛抑制系を再活性化
  • 自律神経バランス:迷走神経トーンの向上が骨盤内の血流と筋緊張を改善

漢方薬

  • 芍薬甘草湯:筋の攣急・痙攣に対する即効性の鎮痙作用
  • 四逆散加味:肝気鬱結による骨盤内の気血の滞りを解消
  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯:冷えを伴う骨盤痛に特効

推拿(中医学的手技療法)

  • 腹部・腰仙部への推拿が骨盤内血流を改善
  • 骨盤底筋のリリーステクニック
  • 鍼灸との併用で効果が増強

慢性骨盤痛に対する鍼灸エビデンス

2021年にJournal of Pain Researchに掲載された系統的レビューでは、慢性骨盤痛に対する鍼灸の効果を10件のRCT(合計1,167名)から分析し、以下を結論づけています:

  • VAS疼痛スコアの有意な低下(標準化平均差 -1.34, 95%CI: -1.93〜-0.74)
  • 鎮痛薬使用量の減少
  • QOLスコアの有意な改善
  • 重篤な副作用なし

中国・上海での子宮内膜症中医学治療プログラム

なぜ中国なのか?

中医学の本場である中国、特に上海には、子宮内膜症に対する中医婦人科の専門治療を提供する三甲病院(最高ランク病院)が複数存在します。日本からの渡航治療を検討する方にとっての利点を整理します。

1. 弁証の深さと個別化

中国の中医婦人科専門医は、望聞問切(四診)と現代医学的検査を統合し、一人ひとりに合わせた煎じ薬を処方します。エキス製剤ではない「オーダーメイド」の生薬処方が可能です。

2. 月経周期に合わせた動的治療

月経期・卵胞期・排卵期・黄体期それぞれで処方を変え、ホルモン環境の自然なリズムに沿った治療を行います。これは日本のエキス漢方では実現しにくいアプローチです。

3. 中薬灌腸・外用療法の併用

経口投与だけでなく、直腸投与(灌腸)や外用(湿布・薫洗)を通じて骨盤内に薬効を直接送達する方法は、中国の中医婦人科病院の強みです。

4. 鍼灸と漢方の統合管理

同一病院内で中医師が鍼灸と漢方薬を一体的に管理し、治療効果をリアルタイムで最適化します。日本では鍼灸と漢方が別施設になることが多く、この統合性は大きな利点です。

5. 費用面の優位性

中国での中医学治療は、日本やアメリカと比較して大幅に低コストです。

治療内容日本(目安)中国・上海(目安)
中医婦人科初診保険適用外の場合10,000〜20,000円300〜800元(6,000〜16,000円)
煎じ薬(1ヶ月分)20,000〜40,000円(自費)1,000〜3,000元(20,000〜60,000円)※複雑処方
鍼灸1回5,000〜10,000円200〜500元(4,000〜10,000円)
中薬灌腸1コース(10回)日本では受けられない1,500〜3,000元(30,000〜60,000円)

治療プログラムの一般的な流れ

第1段階:初回評価(1〜2日目)

  • 中医婦人科専門医による四診(望聞問切)
  • 既存の検査データ(MRI、CA-125、超音波)のレビュー
  • 必要に応じた追加検査(超音波、血液検査)
  • 個別化治療計画の策定

第2段階:集中治療期(1〜4週間)

  • 煎じ薬の開始(証型に基づく個別処方)
  • 鍼灸:週3〜5回
  • 中薬灌腸:適応がある場合は隔日〜毎日
  • 推拿・気功療法の組み合わせ

第3段階:帰国後の継続管理

  • 処方薬の持ち帰り(粉末または丸薬形態で数ヶ月分)
  • オンライン経過観察(OriEastが通訳サポート)
  • 月経周期に合わせた処方変更の指示
  • 必要に応じた再渡航のスケジュール調整

生活養生:中医学的セルフケア

中医学では、治療室での処置と同等以上に日常生活の養生を重視します。子宮内膜症の方が実践できるセルフケアを紹介します。

食養生

積極的に摂るべき食材

  • 活血化瘀の食材: サフラン、ターメリック(ウコン)、黒酢、紅花
  • 抗炎症食材: サーモン・サバなどのω-3脂肪酸豊富な魚、くるみ、亜麻仁
  • 補血食材: なつめ(大棗)、黒ごま、クコの実、レバー
  • 温性食材: 生姜、シナモン、ネギ、ニラ(特に冷えを伴う場合)

控えるべき食材

  • 冷飲・生もの: 中医学では「寒凝血瘀」(冷えによる血行不良)が子宮内膜症を悪化させると考えます
  • 乳製品・過度な甘味: 「痰湿」を生じ、病巣の増殖を助長する可能性
  • カフェイン・アルコールの過剰摂取: 肝気の乱れ、ホルモンバランスの攪乱
  • 加工食品・トランス脂肪酸: 炎症を促進

温灸(セルフ温灸)

  • 市販の灸(台座灸・棒灸)を用いた関元(CV4)・三陰交(SP6)への温灸
  • 月経前の1週間に毎日15〜20分
  • 骨盤内の血流促進・月経痛の予防効果
  • ただし月経中の大量出血時は避ける

適度な運動

  • ヨガ・太極拳・気功:骨盤底筋の弛緩と血流改善
  • ウォーキング:30分以上の有酸素運動が炎症マーカーを低減
  • 激しすぎる運動は逆効果(交感神経優位になり骨盤痛を増悪させる場合がある)

ストレス管理

  • 中医学では「肝気鬱結」がストレスの身体化と考え、子宮内膜症の増悪因子とします
  • 瞑想・深呼吸・森林浴などの副交感神経活性化
  • 睡眠の質の確保(23時前の就寝が肝血の養生に重要)

よくある質問

鍼灸はどのくらいの頻度で受けるべきですか?

標準的には週2回の施術を3ヶ月間(約24回)が一つの治療単位です。月経前の1週間は特に重要で、この時期に施術を増やすことで月経痛の軽減効果が高まります。効果は通常4〜6回目の施術後から自覚され始めます。

漢方薬とホルモン療法は併用できますか?

多くの場合、併用可能です。中国の中医婦人科病院では西洋医学との併用経験が豊富で、薬物相互作用を考慮した処方調整を行います。ジエノゲスト服用中の漢方薬併用、ピル服用中の鍼灸併用なども一般的です。ただし、必ず担当の中医師と西洋医学の主治医の双方に情報を共有してください。

効果が出るまでにどのくらいかかりますか?

痛みの軽減は比較的早く(2〜4週間)、月経周期の調整には2〜3周期、不妊改善には3〜6ヶ月の治療が目安です。子宮内膜症のステージ、罹患期間、年齢によって個人差があります。

手術後の再発予防にも有効ですか?

はい。腹腔鏡手術後の中医学治療は、再発率の低減を目的として中国では標準的に行われています。術後早期に活血化瘀・補腎方剤と鍼灸を開始し、癒着形成の予防と卵巣機能の回復を図ります。

日本から上海へ治療渡航する場合、何日間必要ですか?

初回評価と治療開始には最低1〜2週間の滞在が推奨されます。集中的な治療効果を求める場合は3〜4週間が理想です。帰国後はオンラインフォローアップで治療を継続し、必要に応じて再渡航を計画します。


治療を始めるには

子宮内膜症・慢性骨盤痛の中医学治療に関心がある方は、以下のステップからご検討ください。

  1. 現在の状況を整理する: 最新の超音波検査結果、CA-125値、手術歴、服薬歴をまとめておく
  2. OriEastに無料相談する: 症状・治療歴を共有いただければ、適切な専門病院と治療プランをご提案します
  3. 治療スケジュールを計画する: 月経周期に合わせた渡航タイミングの相談
  4. 渡航サポートを受ける: ビザ手続き、通訳手配、宿泊、病院予約を一括でサポート

OriEastは、上海を中心とした中国の三甲病院・中医婦人科専門施設との提携を通じて、日本人女性に向けた子宮内膜症治療渡航プログラムをコーディネートしています。中医学による根本治療と西洋医学の精密検査を統合した、あなただけの治療計画を一緒に設計しましょう。

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参考文献

  1. Xu Y, et al. "Effects of acupuncture for the treatment of endometriosis-related pain: A systematic review and meta-analysis." PLOS ONE, 2017.
  2. Wayne PM, et al. "Japanese-style acupuncture for endometriosis-related pelvic pain in adolescents and young women." Journal of Pediatric and Adolescent Gynecology, 2008.
  3. Zhu X, et al. "Acupuncture for pain in endometriosis." Cochrane Database of Systematic Reviews, 2011 (updated 2019).
  4. Rubi-Klein K, et al. "Is acupuncture in addition to conventional medicine effective as pain treatment for endometriosis?" European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology, 2010.
  5. Flower A, et al. "Chinese herbal medicine for endometriosis." Cochrane Database of Systematic Reviews, 2012.
  6. Su SY, et al. "Chinese herbal medicine for endometriosis." Journal of Ethnopharmacology, 2016.
  7. Liu JP, et al. "Blood-activating and stasis-dissolving Chinese herbal medicine for endometriosis." Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2019.
  8. Chen H, et al. "Shaofu Zhuyu decoction for endometriosis: molecular mechanisms and clinical evidence." Frontiers in Pharmacology, 2020.
  9. Stener-Victorin E, et al. "Reduction of blood flow impedance in the uterine arteries of infertile women with electro-acupuncture." Human Reproduction, 1996.
  10. World Endometriosis Society. "Consensus on current management of endometriosis." Human Reproduction, 2021.

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